この記事で分かること
- こども誰でも通園制度はいつから始まるの?
- 対象の施設はどこ?
- この制度の概要やポイント
- 保育士の負担は増える?
政府が発表した”子ども誰でも通園制度”が、いつ始まるのか、制度の概要や対象施設は?と不安に思う保育士は少なくありません。
現状でも、現場では保育士不足で、大きな負担になっていますので、保護者同様、保育士もこの制度への関心は高いです。
そこで、この記事では、こども誰でも通園制度の最新情報を現役園長の私が分かりやすく解説していきたいと思います。
この記事を読み終えると、こども誰でも通園制度に対しての疑問がなくなり、保育士の不安が解消され、この制度にどのように備えていくと良いのかが分かるようになりますので、最後までお読みくださいね。
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子ども誰でも通園制度とはなに?
政府は、2023年6月1日に、保護者が働いていなくても保育園を利用することが出来る”こども誰でも通園制度”を発表しました。
全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付(「こども誰でも通園制度(仮称)」)を創設する。 出典:こども未来戦略方針
現在、保育園に入所するためには、保護者が就労や求職中、介護や病気などの条件があり、保護者が働いていない家庭は入所が出来ませんでした。
こども誰でも通園制度のメリット3つ
こども誰でも制度を利用する保護者のメリットに視点をあててみましょう。
メリット3つ
- 孤立化防止
- 保護者のリフレッシュ
- 保育士に気軽に相談できる
メリット①:孤立化防止
子育ての孤立化が深刻な問題となっており、こども誰でも通園制度が設立された背景でもあります。
孤立化とは、家庭と外部の繋がりがない、少ないということですので、誰でも通園制度を利用することで、保育園や同じく制度を利用するママやパパとのつながりができるというメリットがあります。
メリット②:保護者のリフレッシュ
父親の育休制度推進の動きではありますが、女性の方が子育てや家事での負担割合は多いのが現状です。
いわゆるワンオペの状態で、家事、子育てと自分の時間もなく毎日が続くと、ストレスもたまり、結果として子どもにも影響が出てくる可能性があります。
この制度を使って、保育園に預け、保護者のリフレッシュする時間を作るということも大事なことです。
保育士に気軽に相談できる
子どもの成長発達で悩みがあるときに、今のご時世、ネットで簡単に悩みを検索することができます。
しかし、ネット検索よりも、会って子どもの様子を見てもらいながら、保育士(専門職)相談に乗ってもらえるという事の方が保護者からすると安心できます。
なぜなら、ネットには、情報が溢れ、専門家ではない保護者では、その情報がどこまで本当か分からないことがありますし、ネットには極端な改善方法なども掲載されていますので、かえって悩みを深めることがあるようです。
こども誰でも通園制度デメリット
では、次に、子ども誰でも通園制度を利用する保護者のデメリットについて見ていきましょう。
デメリット
- 月に10時間(現時点)では、子どもが慣れずに、負担がかかる
- 預けたいと思う保育園の保育士の体制が整っておらずに預けることができない可能性も
- 預けたい保育園が人気で予約を取ることが難しい可能性も
こども誰でも通園制度はいつから始まる?
令和5年6月に発表された、こども未来戦略方針にはこのように書かれています。
本年度中に未就園児のモデル事業を更に拡充させ、2024 年度からは制度の本格実施を見据えた形で実施する。
つまり、本年度である令和5年にモデルケースとして事業をはじめ、来年度2024年度(令和6年度)から、実施される予定となっています。
岸田総理もこのようにコメントしております。
「速やかに全国的な制度とすべく、2024年度から制度の本格実施を見据えた形でモデル事業を実施したい」と表明しました。
千葉県松戸市で記者団の質問より引用
令和6年度の試行的事業とは?
ポイント
- 1人あたり月10時間を上限として検討中
- 1日で10時間利用すれば、その月は1回で終了
- 1日2時間利用で週1回から2回利用できるイメージです
- 人員配置は、令和5年度のモデル事業と同じ
一時預かり事業とこども誰でも通園制度は何が違うの?
この一時預かり事業とこども誰でも通園制度の違いを知っている人は少なく、一時預かり事業と重複しているからこども誰でも通園制度は必要ないと訴える人を見かけますが、実は違います。
一時預かり事業は、自治体によって実施していない所もありますし、目的も家庭での保育が一時的に困難となった子どもに対しての事業となっています。
ネット上では、どんな反応?
また、SNSでは、保育関係者から月10時間の利用で、家庭支援につながるのかどうか疑問視する声や一時預かりとの違いがまだ分からないという声も上がっています。
保育園パンクしますな。
現場無視。
保育士の人員確保してからやらないと、事故が起こりまくる。
抽選も点数廃止?
順序逆だよ。
【速報】岸田総理「こども誰でも通園制度」2024年度から開始を表明(TBS NEWS DIG Powered by JNN) https://t.co/FzVh8WVrvI— 谷口 さとし 江東区 (@gussan19750628) June 1, 2023
こども誰でも通園制度って、まさかの月10時間の設定なの?!
え、2日預けたら終わり。。就労してなくてもまずは保育所に預けられる形になるなら、子ども慣れてから落ち着いて探せるやん早く始まらないかなと思ってたんですけど、、— いちごやぎ (@ichigoyagisan) October 3, 2023
https://twitter.com/aoi_s5_news923/status/1709824439284883936
対象になる施設はどこ?
現在、モデル事業が開始されています。
では、モデル事業の対象施設はどうなっているのでしょうか?
対象施設は?
- 定員に空きのある保育所等(認定こども園や地域子育て支援拠点含む)
来年度からは、対象施設は、保育所、認定こども園、地域型保育事業所が対象となる見通しです。
つまりは、あなたの働く保育園も対象施設となるのです。
なぜ、こども誰でも通園制度が作られたのか?
この制度が作られた背景について、現状として、0歳~2歳児の6割近くが未就園児、つまり、保育所等に入所していない状態で、孤独や不安を抱えながら子育てしています。
また、共働き世帯の増加や働き方の多様化に伴い、従来の制度だけでは解決できない問題も出始めています。
そこで、全子育て世帯に、柔軟に支援強化できる制度として、こども誰でも通園制度が設立されようとしているのです。
こども誰でも通園制度について指摘されている点は?
大きな期待がある一方で指摘される点もありますので、解説していきます。
指摘点
- 保育士不足の更なる深刻化
- 保育士の働く環境が悪くなる可能性がある
保育士不足の更なる深刻化
そもそも、保育士不足は今に始まったことではなく、その根本的な部分は解決されないまま、待機児童解消の為、保育園の設立が進み、保育士不足に拍車がかかりました。
保育士不足の要因として、働く環境が過酷という点もあり、いまだにブラック保育園は多いです。
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参考これはやばい!ブラック保育園の見分け方と特徴を園長が徹底解説
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また、保育士の給料は安く、他業種に比べて離職率も高いです。
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参考保育士の給料が安いのは当たり前?理由や給料UPの方法を教えます
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現状でも、現場の保育士はその業務量や保育準備で疲弊しているのにも関わらず、この誰でも保育園に通園できる制度が実施されることに対しての不安は大きいと思います。
ですから、こども誰でも通園制度が、更なる保育士の負担となり、離職が進まないか不安視する声は多くあります。
保育士の働く環境が悪くなる可能性
現場では、制度の詳細が決まっていないにも関わらず、来年度からこども誰でも通園制度が実施されることに対して、業務負担が増えるのではないかと不安に感じています。
現在の業務に加えて、この制度で子どもを保育するということは、保育士の確保やアレルギーや病歴など連絡事項の共有や安全確保など業務がさらに増えます。
政府としても、この制度と成功して保育士の処遇改善や保育士配置基準の見直しについて、こども未来戦略方針の中で触れています。
(2)幼児教育・保育の質の向上 ~75 年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善~
具体的には、「社会保障と税の一体改革」以降積み残された1歳児及び4・5歳児の職員配置基準について1歳児は6対1から5対1へ、4・5歳児は 30 対1から 25 対1へと改善するとともに、民間給与動向等を踏まえた保育士等の更なる処遇改善を検討する。出典:こども未来戦略方針
保育士の配置基準に関しては、今までも言われていましたが、改善への検討ということで、決定していないところろにも不安を感じる保育士は多いのではないでしょうか。
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こども誰でも通園制度実施に保育士が備えることは?
ポイント
- 今後の制度の動きに興味関心を持つ
- モデル事業の実態を知る
- 転職を視野に入れる
今後の制度の動きに興味関心を持つ
こども誰でも通園制度は、現時点で検討中の事柄が多く、今後、情報が出てきます。
自分の仕事に関わる事ですので、最新情報をいち早く入手していくことが重要になります。
また、保護者から質問があるかもしれません。
全く知らないと、保護者から不安に思われるかもしれませんので気をつけましょう。
モデル事業の実態を知る
令和6年度の試行的事業実施に先駆けて、今年度モデル事業も行われています。
その様な情報を入手することで、自分の園に置き換えてみると、来年度からのこの制度に対してのイメージが持てるでしょう。
実態を知りたい時は、知人に聞いたり、近い園で有れば見学に行ったりすることも有効でしょう。
転職を視野に入れる
保育業界にはまだまだ、ブラック保育園も多いのが現状です。
保育のICT化も進んできていますが、サービス残業、持ち帰り仕事が多いといった保育園もあります。
その様な不安を感じる人は、転職を視野に入れることもおすすめします。
心身ともに疲れて、病気になる前に、自分のことを守っていきましょう。
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まとめ
こども誰でも通園制度について、解説してきました。
子育て世帯の孤立な子育てに支援するという素晴らしい目的と保育園、保育士への負担など賛否両論の制度です。
そして、来年度から実施される予定ではありますが、現時点でも検討を重ねているというのが現状で、これからR6年4月に向け次々に決まっていくと思います。
まとめポイント
- 2024年度から、全国で試行される予定
- 1ヶ月10時間をげんどとし、親が働いていなくても預けることが可能
- 現場では、保育士不足を心配
- 保育士の処遇改善や配置基準の見直しとも言われてるが、具体的には決まっていない
- 全国でモデルケースですでに始まっている施設もあるので、気になる人は要チエック
- こども誰でも通園制度が始まり、人手不足や働く環境が過酷になる可能性もあるので、すでにブラック園の場合は、転職を視野に入れてもいいかも
改善すべき点やブラッシュアップされていく制度だと思います。
とは言え、来年度には、始まるわけですから、保育士は、制度について勉強し、備えられることはやっておくことが来年度からの負担軽減につながりますね。
そして、保育士の業務負担や離職に繋がらない制度にしてほしいものです。