- 保育士資格の取得方法
- 保育士試験の概要や難易度
- 未経験でも保育士になれるかどうか
保育士の離職率は高く、給料も安いとマイナスなイメージも多いですが、需要は今後もますます高まりますし、保育園選びをしっかりすると、充実した保育士ライフを送ることができます。
[st-kaiwa1]この記事では、そもそも保育士になるには?資格を取得した後の就職の仕方を保育業界に20年以上、現役園長の私が徹底解説しますよ。この記事を読むと、保育士になるにはどうしたら良いのか?資格取得方法や試験で資格を取る場合の方法、そして、資格を取得後に就職までの流れを知ることが出来、保育士として働くようになるまでのステップが分かります。
保育士になるにはどうしたら良い?
保育士とは、この様に定義されています。
「この法律で、保育士とは、第18条の18第1項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。」(児童福祉法第18条の4)
そして、保育士になるためには、国家資格【保育士資格】を取得することが必要です。
資格を取得するだけではありません。その後は、保育士登録→保育士証の交付を経て【保育士】として保育施設で働くことが可能になります。
就学前の0歳児~5歳児は、発達や人格形成の基盤となる時期で、保育士は専門性を活かし、質の高い保育が求められます。
その重要性からも、誰にでもなれるのではなく、要件や試験に合格した者だけがなれる国家資格として位置づけられています。
保育士資格を取得する2ルート
保育士の資格を取得する方法は2つあります。
2ルート
- 保育の養成校を卒業する方法(保育の専門学校/短期大学/大学)
- 保育士試験に合格する方法
それでは、具体的に見ていきましょう。
ルート①保育養成学校を卒業する
1つ目のルートは、保育の養成校を卒業して資格を得る方法です。
厚生労働省指定の専門学校、短期大学、大学で学校に応じた期間が決まっています。
学校では、指定された保育士に必要な科目、単位を履修します。(学校によっては、幼稚園教諭免許の取得も可能です)
さらに、実習も行います。保育園と児童福祉施設、幼稚園教諭免許取得する学校で有れば、幼稚園実習もあります。
この実習を終えて、成績を満たし、卒業することで保育士資格を取得することができます。
ポイント
保育士試験で合格する人と異なる点は、養成校卒業者は、試験の受験が免除され、卒業することが出来れば、保育士になれるというところです。
保育士試験(国家試験)に合格する
2つ目のルートは、保育士試験(国家試験)に合格して資格を得る方法です。
受験資格や試験概要に関しては、後述します。
社会人として働きながら、子育てしながら試験合格を目指す人も多いです。
実習がない点は、養成校との違いになります。
養成校卒業と国家試験合格どちらが大変?
卒業したら、試験免除と聞くと簡単な様に感じるかもしれませんが、学校に在学中は、試験があります、
試験の点数が悪ければ、追試や単位を落とすこともあります。
一方、試験合格したら保育士資格を得る方法も、ペーパー試験だけでなく、実技の試験もあります。
結論、どちらも簡単ではないという事です。
養成校、試験合格の2つのルートでの違いをまとめます。
ポイント
養成校:科目単位、成績を満たし、実習を終え、卒業すると国家試験免除
試験:受験資格を満たすことで誰でも試験を受験可能。実習はない。
取得までの費用、時間も違いますので、どちらの方法が良いのかは一概には言えません。
保育士に年齢制限はある?
保育士試験の受験に関して年齢の上限はありません。
ただし、保育園で働く場合は、定年が定められていると、その年齢に達するまでになります。
注意ポイント
保育士の公務員試験、いわゆる公立保育士は、市町村によって、年齢制限がありますので、受験したいのであれば、希望する市町村の公務員試験の要件を確認しましょう。
保育士試験の概要について
保育士試験について、詳しくは、一般社団法人全国保育士養成協議会ホームページを参考にしてください。
概要
- 1年に2回(前期/後期)試験が行われる。
- 試験は、筆記試験と実技試験があり、筆記試験合格者のみ、実技試験を受けることができる。
- 実技試験:音楽・造形・言語のうち2つを選択
令和5年試験日程もすでに発表されています。
令和5年試験日程
<前期>
筆記試験:令和5年4月22日(土)、23日(日)
実技試験:令和5年7月2日(日)
<後期>
筆記試験:令和5年10月21日(土)、22日(日)
実技試験:令和5年12月10日(日)
最終学歴ごとの保育士試験受験資格について
受験資格
- 大学卒業
- 短期大学(学校教育法基づく)卒業
- 専門学校(学校教育法に基づく・専門課程2年以上)卒業
- 高校卒業(卒業した年により異なります。例として卒業が1996年4月1日以降→対象施設で2年以上かつ2880時間以上の勤務経験が必要。)
- 中学卒業(卒業後、対象施設で5年以上かつ7,200時間以上の勤務経験が必要)
その他、在学中、中退の場合も条件がありますので、詳細について必ず、一般社団法人全国保育士養成協議会ホームページで確認しましょう。
保育士試験難易度
令和3年度:受験者数(83,175人)・合格者数(16,660人)・合格率(19.96%)
保育士試験の実施状況令和3年度で都道府県のデータも分かります。
合格ライン:全9科目において6割以上の点数が必要
科目数が多く、また、総合の点数ではなく、全科目6割以上の点数が必要なことから、簡単ではないことがうかがえます。
また、科目内容を丸暗記すれば合格できる内容ではなく、試験範囲の内容と実際の保育との結び付きが絡んだ問題もあります。
最近の合格率は以下の通りです。
勉強方法2つ
保育士試験の概要はイメージできたと思います。
続いて、その養成校に通わずに試験で合格を目指す場合の勉強方法について2つ紹介します。
通信教育 | 独学 | |
費用 | 4万円~6万円前後(選ぶ講座内容によります) | 1万円~2万円前後(何冊購入するかによって異なります) |
メリット |
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デメリット |
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【方法①:通信教育で保育士試験合格を目指す】
保育士試験は、全9科目あり、範囲が広いことが特徴です。
また、全科目6割以上の点数が必要なことから、偏った勉強方法ではなく、全科目まんべんなく勉強することが合格に必要になってきます。
勉強のポイントとして、苦手科目は作らず満遍なく勉強する。
通信教育のメリット
通信教育のデメリット
おすすめの通信教育を3つ紹介します
おすすめ通信教育①:三幸保育カレッジ
三幸保育カレッジは、合格率が全国平均の3倍という高さを誇る通信教育講座です。
特徴
- 合格率が全国平均の3倍(2019年度後期試験実績)
- 保育の現場を事例で学べるから、イメージが湧きやすく記憶定着におすすめ
- 受験生一人ひとりに、2人の担任が対応する万全のサポート体制
おすすめの通信教育➁:たのまな
たのまなは、合格率68.9%と高い合格率をほこる人気の保育士通信講座となっています。
特徴
- 合格率68.9%(※2018年上半期ヒューマンアカデミー調べ)、全国平均の3.2倍
- 隙間時間活用、24時間いつでも講義視聴可能
- 実技試験内容もプロが解説
- 確認テストで各科目の弱点把握と勉強の効率化
おすすめの通信教育③:ユーキャン
特徴
- 過去10年間の合格者14,333人の実績(受験生の88.7%が初学者)
- 開講実績30年以上サポート体制の充実
- 実技試験対策セットあり。
以上、3つのおすすめ通信教育です。
働きながら保育士試験合格を目指す人にとっては、隙間時間や仕事後に効率良く勉強することが出来ますので、おすすめです。
【方法②:独学で勉強して試験合格を目指す】
独学で、保育士試験の合格を目指す場合、書店で参考書を購入し、勉強というかたちが主となります。
YouTubeで、保育士試験の動画もありますが、正直、あまりおすすめしません。
理由は、その動画が最新のものかどうか、断片的な動画勉強では合格が難しいということです。
どんな勉強をするんだろうと、調べる事には良いと思います。
独学のメリットは、費用面です。
講座費用に対して、参考書を何冊購入するのかにもよりますが、1万円前後ではないでしょうか。
独学の場合、勉強進み具合のぺースなど自己管理が必要になってきます。
勉強範囲が多いので、1つの科目をじっくり理解して次に進むという勉強法よりも、何周もテキストと問題集を回していくと良いです。
数字で考えてみましょう。
1科目例えば、1ヶ月勉強して次に進むとすると、9ヶ月。一番初めに勉強した強化を覚えているのかと言えば、難しいですよね。
試験範囲が広い、資格勉強は、忘却との闘いでもあります。
いかに、効率良く、各科目を回転させていくのかがポイントになります。
とは言え、適当に読み流すでは意味も薄いです。
この様に、1人で考え勉強していく、独学者の悩みは、この勉強法で良いのか?と迷ってしまう事です。
SNSやコミュニティで、同じく勉強している人と励まし合って勉強するのもいいかもしれませんね。
保育士試験独学勉強におすすめの本
独学者向けの参考書を紹介します。
試験対策としては、テキストを読み込むことと過去問で問題を解くことに慣れていくことが大切です。
解説が丁寧なものをチョイスしました。
保育士試験は、科目で合格した者は、3年間(その年から)有効になります。
ポイント
勉強のポイントが分かる人や残りの科目の勉強で独学に切り替えるという人もいますよ。
参考書を上手く活用して、費用をおさえられると良いですね。
保育補助で働きながら資格勉強するメリット・デメリット
保育士資格(登録後)がない場合は、保育補助として働くことになります。
保育士試験では、この保育補助の経験はどのように活かされるのでしょうか?
メリット
では、まずメリットをみていきましょう。
メリット
- 保育園の一日の流れや保育士の仕事内容を知ることができる。
- 実践で実技を磨くことができる
この2つがメリットの中でも大きと思います。
例えば、保育士試験の問題でこのような問題があります。
正解は、【2】です。
この問題は、保育の環境や計画と子ども主体性や気持ちや育ちの視点です。
環境を整えることや計画を立てることは大事ですが、現場では、その様な計画通りに進むことはなかなかありません。
保育士が計画した通りに保育をすすめる、つまり、子どもにやらせる保育は、子どもの自主性を育んでいかないということです。
そのため、現場では、計画したことが絶対ではなく、子どもの姿に合わせて柔軟にかかわりや保育計画を変えていきます。
ということも、現場で日々目にしているとこの問題の意図やイメージが湧きます。
試験問題を解くというよりも、試験問題の意味が分かるという所で、問題の答えを導きやすいと思います。
また、手遊びや絵本の読み聞かせを保育士がしている姿を見ることや自分が実践する場合もあるかもしれません。
現場の経験は何よりも貴重です。
話すテンポや声のトーン、絵本の高さや手遊びの手の動かし方など、本や動画で見ても、実際にやるとでは大違いです。
その様な経験を積むことが出来るかもしれない保育補助は、実技試験で大きな強みになってきます。
デメリット
その一方でデメリットもあります、
デメリット
- 給与が安い
- 子ども主体の保育ではなく、保育士主体の保育をしている場合がある
まず、保育補助の場合、保育士に比べると給与が安いです。
任される仕事の範囲も保育士と比べて少ないからです。
保育補助だけの仕事で生計を立てることが難しく、副業をして勉強時間が取れないとなると、試験合格が難しくなっていきます。この点は注意が必要ですね。
次に、子ども主体ではなく、保育士主体の保育園も現実的にあるということです。
保育士が計画した通りに保育していくということです。
すなると、先ほどの問題では、計画が大事、規律やマナーを守らせることが大事となってきます。
確かに、規律やマナーは大事です。
ただ、守らせるという部分で、子どもが気づいて自発的に姿として表れていくためにどう保育するのかが保育の専門性です。
保育士がやりなさいということは、簡単ですが、それでは、子どもたちの規律やマナーに対しての意識や姿に結びつていかないのです。
このことは、保育所保育指針、10の姿の解説で詳しく解説していますので参考にしてくださいね。
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参考【保育】幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿と実践のポイント
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つまりは、そのような保育園で働いていると、試験問題での意図やイメージが湧きにくいということです。
保育士資格を取得した後に働く(就職又は転職)までの流れ
試験に合格しただけでは、保育士として働くことはできません。
では、試験に合格した後の流れのイメージを見てみましょう。
働くまでの流れ
- 試験に合格する。(資格取得)
- 登録する(登録事務センター)
- 保育士証の交付(都道府県の審査)
そして、働く保育園を見つけていくという流れです。
現在、保育園に務めながら資格試験の勉強をしている人であれば、そのままその保育園に保育士として採用もあるかもしれません。
保育業界が未経験であれば、転職先を見つけることが大変だと思いますので、保育士専門の転職エージェントを活用することをおすすめします。
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保育士の資格を取得するメリット3つ
保育士資格試験は、毎年たくさんの人が受験しています(令和3年度:受験者数83,175人)
試験受験者以外にも養成校を卒業して、保育士になる人もいますので、その人たちも合わせるともっと人数は多いのです。
では、どのようなメリットがあるのでしょうか?
保育士の需要が高く、将来性もある
保育の業界では、人手不足となっています。
有効求人倍率も他の業種と比べて多く、転職するチャンスも多いです。
また、一般に転職は、年齢が若い人が有利と言われていますが、保育士の場合、保育経験を重宝されて、経験年数を重ねてからキャリアアップとして転職することもできます。
さらに、資格を活かした転職先も多いのが魅力と言えます。
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自分の生活スタイルに合わせて資格取得を目指せる
保育士試験は、9科目6割以上の点数が筆記試験では必要ですが、その年を含めて3年間持ち越すことが可能です。
つまり、長期的に資格を目指していくことが可能で、自分の生活スタイルに合わせた勉強で進めていく事ができます。
資格試験では、合格科目を持ち越せるものと、その年限りというものもあります。その年だけで、全科目合格となるとハードルがあがりますね。
キャリアアップを目指すことができる
保育園では、園長、主任の役職が主でした。
2017年度から、キャリアアップ研修の導入、がはじまりました。
それに伴い、研修を修了し、リーダー的役割を担い、力を発揮することができます。
また、修了証は、全国で有効となり、転勤や引っ越し、育休明けの復帰の場合にも役立ちます。
まとめ
それでは、最後におさらいです。
保育士資格を取得する方法は、
2ルート
- 保育の養成校を卒業する方法(保育の専門学校/短期大学/大学)
- 保育士試験に合格する方法
保育士試験合格を目指すときの勉強法は、
勉強方法
- 通信教育の活用(人気の通信講座はこちら>>>)
- 独学
試験合格した後の流れは、
働くまでの流れ
- 試験に合格する。(資格取得)
- 登録する(登録事務センター)
- 保育士証の交付(都道府県の審査)
となっています。
保育士の仕事を長年していますが、子どもたちの成長の喜びを感じるこの仕事はやりがいも大きいと思います。
資格取得に向けて勉強されている方の合格をお祈りしています。
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