この記事を読むと、保育士の退職理由やその悩みの対処方法とや退職すると決めた場合の円満な退職方法のポイントが分かります。
私も、退職と転職をした経験がありますので、その経験も合わせてお伝えします。
保育士の退職事情について
まずは、退職に関して離職率や離職時期についても解説します。
退職事情を知ることで、自分の考えていることや保育士という職種を客観的に見ることができますね。
保育士の離職率について
まずは、この調査データを見てください。
少し前のデータではありますが、年間に約37,000人以上の保育士が離職しています。
このデータでは、常勤のみとなっていますので、パート保育士を含めるともっと増えるでしょう。
公立園に比べて私立園の離職率が高いことも特徴的です。
私立保育園に関していえば、離職率10%を超えています。
10人に1人は離職するということです。
かなり多いですね。
保育士の退職時期は?
退職する時期に何月が多いのかというデータはありませんが、有効求人倍率というデータから推測してみましょう。
求人数は、11月から2月にかけての4ヶ月が1年の中でピークになります。
この求人に関しては、主に2つに分類されことが推測できます。
- 来年度の保育士を募集
- 途中退職の保育士の補充
どちらが多いのかまでは分かりません。
よく、年度途中に保育士が退職するのは無責任だという話が聞こえてきますが、事情も背景も知らない人が年度の途中で辞めたという事だけを切り取って無責任だと責めることの方が、無責任だと個人的には思いますけどね。
保育士が退職する理由と悩みを解決方法
それでは、保育士が退職する理由を見ていきます。
そして、その退職理由の悩みを抱えた時に解決する方法についても合わせて解説していきます。
退職理由に関して、こちらのデータをご覧ください。
それでは、具体的に見ていきましょう。
職場の人間関係によるストレス
保育士の離職理由で最も多いものが人間関係です。
保育園では、年齢層も幅広く、上司、先輩保育士、同僚、後輩保育士と関係も複雑ですし、パワーバランスが園によって異なります。
公立園だと、転勤という形で保育園が変わりますが、そのたびに人間関係を構築していくことや市や町での保育士は顔見知りや「知り合いも多いですから、いったん関係が崩れると厄介ですね。
私立園では、法人内で転勤することもできますし、ずっと同じ保育園で働くこともできます。逆に、人間関係が悪い中で、ずっと働くことを考えるとかなりのストレスになりますね。
この人間関係は保育に影響する部分もあります。
複数担任では、保育士同士の連携が求められますので、人間関係が悪いと結果として子どもたちに影響がいってしまう場合もあります。
その様なことにストレスを感じて辞めてしまう人もいるでしょう。
職場での人間関係の解決方法
自分だけで解決や改善ができない場合は、上司や心許せる人に相談していくことをおすすめします。
人間関係の原因が上司の場合もあるので、その時は上司への相談はできないですね。
ポイント
人間関係の悩みを一人で抱え込まない
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他には、新しく職場を変える転職も有効だと思います。
ただし、転職先の人間関係が必ずしも良好とは言えませんから気をつけましょう。
求人に、人間関係良好やアットホームと書かれてあっても、実際にそうなのかはその求人票からは確かめようがありません。
ですので、園見学や保育士専門の転職エージェントを活用することをおすすめします。
園見学で実際に自分の目で確かめることも良いですが、時間がないとできないのがネックです。
転職エージェントは、内部事情に詳しいところが人間関係の内情も教えてくれますよ。
ポイント
園見学や保育士専門の転職エージェントを活用して転職先の人間関係を見極める
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給与が安い
保育士の処遇改善が進み改善された部分もありますが、平均給与は他の業種に比べて低い保育士も大勢います。
給与は、生活に直結する問題ですので、悩みの種になります。
1年に1回昇給する場合はほとんどですが、その昇給額は各園によって異なる場合があります。
公務員保育士は、この昇給額も安定していますし、公務員保育士の場合は、年数を重ねてくと給与も上がっていきます。
一般に、公立園と私立園の保育士の給与は、年数が上がっていくにつれ、差が開いていく傾向にあります。
給与が安い悩みを解決する方法
給与が低いことを解決する方法は主に2つあります。
1つ目は、キャリアアップの転職です。
保育経験や専門性を活かしてキャリアアップの転職で年収アップを実現した保育士も多いのではないでしょうか。
転職は、保育園から保育園という場合だけでなく、保育資格や経験を活かした異業種へ転職する人も多いですよ。
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もう1つの解決方法は、副業です。
保育士の経験を活かした副業もたくさんあるので、ひそかに副業して収入を得ている保育士も増えてきていると思います。
注意ポイント
副業をする際は、勤務している保育園が副業OKなのか、本業とのバランスに注意が必要です
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仕事量が多いことが負担
保育士の業務量はとても多いです。子どもたちの保育だけではありません。
指導案作成、保護者対応、行事の計画など挙げればきりがありません。
ただ、一番の問題点は、その業務を行う時間が作れていない現状です。
8時間の勤務時間のうち8時間保育をしていては、他の業務を行う時間がないのです。
仕事量が多い悩みを解決方法
この業務量の多いということを改善するために、保育のICT化が進んでいます。
業務の見直し、ノンコンタクトタイムの導入をしている保育園も増えています。
現園で業務の見直しや軽減に向けた取り組みが難しいようであれば、ICT化、業務改善に取り組んでいる園への転職も一つの方法としておすすめです。
なぜなら、ICT化や業務改善は、現場の保育士の要求で行われると限らず、園長や経営者の裁量が大きいからです。
勿論、個人の努力で指導案の作成や他の業務を効率的に、スムーズに行う計画性や努力を必要になってきますね。
労働時間が長い
先ほどの業務量の影響もあり、残業が多くなっていきます。
残業代が出る場合もあれば、サービス残業になることも実態としてあります。
労働時間の問題を解決する方法
労働時間や残業の多さは、個人レベルで解決できる部分は少ない様に感じます。
定時で帰ることができる保育園も増えていますが、先輩が残っているのに先に帰りにくいという雰囲気を感じる部分もあります。
業務量の解決と同様、上司へ相談して業務の見直しを進めていく事が良いでしょう。
結婚・ 妊娠・出産での転機
結婚、妊娠、出産はポジティブな理由として退職する人も多いのではないでしょうか。
中には、パートナーの転勤と合わせてということもあります。
また、子どもが小さい頃は子育てに力を入れたいという保育士も多いのではないでしょうか。
時短勤務や育休後に復帰という選択もありますし、その様な柔軟な働き方ができる保育園に復帰したいですね。
健康上の理由で続けられない
健康面での個人の事情や長年保育士をして腰を痛める場合もあります。保育士は、体力的にもかなり大変な仕事ですからね。
異業種への興味がでてきた
保育以外の事に興味を持つ人もいます。
保育の資格や経験を活かした転職や保育とは関係ない異業種など、一度きりの人生ですから、チャレンジしたいという気持ちも出てきますね。
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保護者対応が大変
保育の仕事の中に、保護者とのコミニケションも大切です。
保護者と共に子どもの成長を喜び合い、信頼関係を築いていきたいものです。
ただ、全てがその様な理想的な関係性を築いていくことができるかと言えば難しい部分があります。子どもに対しての考えや価値観などの違いから関係性が悪くなってしまうケースもあります。
ポイント
- 保護者対応は、一人で抱え込まない。
- 理不尽な要求や暴言は、一人で対応しない
辞める場合は円満退職が良い理由
保育園を辞める場合であっても、可能な限り円満に退職したいですね。ただし、パワハラなど問題ですでにこじれている場合もありますので、ケースバイケースではあります。円満退職をした方が良い理由もあります。
退職意向を伝えた後の影響
円満退職したい理由として、退職の意向を伝えた後の影響がありますね。
例えば、退職意向を伝えた後に嫌がらせがあったり、退職を認めてもらえず退職の時期がずれ込んだりしていくことがあります。
もう、退職するから、そんなこと気にしないというメンタルがあればいいのかもしれませんが、嫌がらせでストレスがかかり、次の転職へ影響がでることもあるでしょう。
転職後に影響がある
退職後に転職が決定していた時に、引継ぎや手続き漏れで入社の時期が遅れたり、新しい職場に電話がかかってきたりするかもしれません。
せっかくの新しい職場での印象にも影響するかもしれませんので、円満に退職したほうがやはり良さそうです。
円満に退職するポイント3つ
では、円満に退職するためのポイントを解説します。先ほどお伝えしたように、円満に退職することの必要性が分かったと思います。
退職意向を伝える時期
まずは、退職の意向を伝える時期と合わせてタイミングもです。
園長や運営視点から言えば、早く伝えてもらった方が助かります。逆に、来月や2週間後など急すぎるタイミングだと、印象は悪くなってしまいます。
おそらく、4月や夏場に来年度の退職意向を施設長が確認すると思います。
その理由は、来年度の新卒者や採用する保育士の人数を把握するためです。
ここだけの話、少し突っ込んだことを言います。
法人や企業としては、紹介会社や派遣会社を利用せずに人員を確保したいというのが本音です。
その理由は、紹介をしてもらった場合に紹介料が発生するからです。
その金額は、かなりの高額です。
ですから、9月や10月に次年度の応募するタイミングで新卒予定者や保育士を確保したいのです。だから、4月や夏場に確認してくるのです。
もしも、その時点で退職することを決めているのであれば、伝えたほうが良いでしょう。
ただ、退職することは決めていても再就職先を見つけていない場合は、転職が決まらないと自分の職がなくなるという問題もあるので難しいところなんです。
一般に、求人はすぐに働いてほしいというものが多いです。
年度が始まった4月に、来年度の4月に働きたいと求人に申し込んで1年間待ってもらえることはなかなかないかと思います。
ですので、ぎりぎりになることや自分の再就職先が決まってから伝えるとなると、施設側の教えてほしいタイミングとズレるという事なんです。
どちらとも、生活や経営がかかってきますので、仕方がないことですね。
その様な悩みを1人で解決できない場合は、転職エージェントを利用し、専門のアドバイザーに相談することもおすすめです。
退職理由の伝え方
退職理由の伝え方として、マイナスイメージや不平不満をそのまま伝えることは控えたほうがいいでしょう。
理由を伝えるということは、その理由がなくなる、または、解決すると退職する理由がなくなってしまうからです。
例えば、業務量が多く定時で帰ることができないという理由で退職を伝えたら、業務改善に取り組み、定時に帰ることが出来るように調整すると言われたらどうしますか?
つまりは、園や運営で改善解決ができる理由は、裏を返せばなんとかできるということになります。
伝えた理由が改善解決できたのに退職するとなると、こじれていきそうですよね。
引継ぎ
次に引継ぎについてです。
退職意向を伝える時期やタイミング、理由でこじれなくても、その後の引継ぎが重要になってきます。
これは、社会人としても大事で、子どもたちの姿、成長、特徴、その他業務に関して悉皆rと引き継いでいきましょう。
書類関係も記入漏れや未作成のまま退職となると、他の誰かが行うことになります。
そうなると、お互いに良い関係性ではなくなっていきます。
注意ポイント
書類に関していうと、退職日の前日のようなギリギリではなく、余裕をもって提出しましょう。
退職を引き留められたらどうする?
退職意向を伝えた時に、残ってほしいと引き留められることは良くあります。
事前にその様な場合にどうするのか考えている方が良いですね。
なぜなら、その時に曖昧な返事や態度にして、やはり退職となったときに話がこじれていく可能性があります。
言った言ってないの水掛け論は、きりがなく、結果として円満な退職になりません。
ただ、絶対に退職するという気持ちではなく、問題が解決できるのであれば、残って働きたいと思うのであれば、その場でしっかりと伝えることも大切です。
その際には、漠然と伝えるのではなく、具体的で分かりやすく伝えることが必要です。
例えば、業務量が多く、帰宅時間が遅くなるために、子育てに支障がでているので、シフト調整や時短での働き方が可能かどうかを交渉するという感じですね。
断り方も「退職する気持ちは変わりません」と伝えるよりも、「せっかくの提案は嬉しいのですが、(退職理由)の気持ちは変わりません」と引き留めてくれたことへの感謝を添えるだけで印象が変わりますね。
同僚への伝え方で気を付けること
同僚への伝え方や伝えるタイミングにも気をつけましょう。
まだ、上司に話していないのに、同僚から耳に入った場合など、ふいに上司から聞かれて、上手く返答できないと困りますね。
信頼できる同僚であれば、大丈夫でしょうが、見極めていくことも大切です。
本当に退職するかどうかしっかりと考える
最後に、本当に今の保育園を辞めるのかどうか?は慎重に考えましょう。
慣れ親しんだ保育園と新しい保育園ではやはり違うもので、やっぱり前の保育園が良かったと思う人もいます。
そうならないためにも、自分の保育士としてのキャリアを考え、退職理由を明確にする、次にどんな保育園で働きたいのかを整理しましょう。
少し、休養を取るのも良いでしょうし、異業種への転職も良いですね。
きっと、この記事をここまで読んでいる方は、退職を決めている、考えている方だと思います。
ポジティブな理由で退職するのであれば、おめでとうございます。
もしも、ネガティブな理由で退職を考えているのであれば、どうか一人で抱え込まないようにしてくださいね。
円満退職のポイントを最後におさらいしましょう。
ポイント
- 退職意向は可能な限り早めに伝える
- 園や運営が改善解決できる退職理由はそのまま伝えない
- 退職意向を伝えた後の保育と引継ぎをしっかりと行う
- 引き留められたらどうするのか、事前に考える
- 引き留められた場合は、そのことに対して感謝の気持ちを添えて断る
- 同僚に伝える際は、伝える人から漏れる可能性も考える
お読みになった方の退職が円満に進んでいくことを願っています。